「うるし」は人肌

「うるし」は人の肌の様だと説明することが多いです。

出来立ての漆器は赤ちゃんの肌。

硬いもので引っかいたら、「アラ!」大変。

赤ちゃんなら大泣きです。

 

御料理やさんなどでは、手元に来てから半年ぐらいは使わずに、匂いを抜きなが慣らすことが常識だそうです。

家と同じですね。

 

でも、ある程度すると、とてもしっかりします。

少々の事では傷つかない。(研磨剤を使わないと削れないぐらい)

 

メンテナンスは洗顔と同じような感じ。

 

ちなみに僕の洗顔

朝起きて洗う。

お家帰ってきたら洗う。

こすって痛くないもので洗う。

火傷しない温度で洗う。

毎日使って手が荒れたりしない洗剤ならOK!

洗い終わったら軽く水分をふく。

 

ずぼらな僕の洗顔ですが漆器の扱いもおなじようなもの。

ただし!!これは普段使いの漆器の場合。

 

モデルさんや芸能人の洗顔はもっとしっかり。

モデル仕様の漆器はモデルさんの洗顔に準じて頑張ってください。

 

蛇足ですが

年を経た漆器はお肌と同じに、メンテナンスが必要。

年齢別基礎化粧品とは言いませんが

メンテナンスすればぐっと寿命が延びます。

 

ほんと、「うるし」は人の肌みたいと、われながら一人で納得。

 

「うるし」の正体

「うるし」を上手く扱えるようになるにはどうしたらよいのか?

という疑問は、漆芸を目指す人は必ずぶつかる疑問。

 

色々な答えがあるのでしょうが

僕が納得した先輩の言葉。

 

「うるし」がどういうものなのか?

その正体を探るんでしゅよ。

 

なるほど!!そりゃそうだ!!って思ったのは僕だけでしょうか?

「うるし」に猫が突っ込んだ!

以前の事ですが

工房の中を実家の飼い猫の一匹がこっそり探検。

おっかなびっくり、抜き足差し足。

何の気なしに声をかけて

「こらこら、仕事場はいったらあかんよ~!」と、言った瞬間、

ばれた!!とばかりに、ダッシュで逃走!!

 

ジャンプ!!

着地!!

 

べちょ!!

 

「うるし」の入った桶に両前足でズボ!!

(その間約2秒)

 

さらに混乱した彼女はそのまま走り回り・・・。

工房内も黄色の漆で猫の手ハンコが床にも壁にも・・・。

 

10分後確保された彼女は漆のついた毛をバリカンでかりとられ

みじめな姿に。

 

 

1日後、取り切れなかった「うるし」にかぶれ

全身カブレ・・・

端正だった顔がブルドックみたいな顔に・・。猫なのに。

 

2週間後なんとか腫れも引いて元の姿に(毛は半年近くかかりましたが・・)

 

 

彼女はそれでも懲りずに僕の仕事を見に来ているのか

工房には覗きに来ておりましたが

二度と漆には手を触れないようにか、

作業中は遠くから眺めているようになりました。

 

 

「うるし」をきれいに塗るためには?

「うるし」の工程に上塗りというものがある。

なかなかにむつかしい。

やればやるほど、難しい。

特に最初のうちは、埃が入ることが多く、どうしたらよいのかと悩みまくる。

 

若いころ、おもいきって大先輩にきいたことがある。

「どうやったら、そんなに埃もなく、きれいに塗れるんでしょうか?なにか、工程を見落としているんでしょうか?」

 

答えはシンプルで、直球だった。

 

 

 

「埃が無くなるまでがんばったらええんや。」

 

 

 

そりゃそうだ!

 

あれから自分なりに出来ることは増えたがいまだに簡単とは言えない。先輩の背中はいまだ大きい。

「うるし」で作品作り

京都を離れていた時、恩師と勝手に仰ぐ一人との呑みながらの思い出にこんな会話があった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みきよ~。

「うるし」で物を作るとき

色々な言葉で分類することができるな。

「うるし」の製品

「うるし」の商品

「うるし」の作品

「うるし」の工芸品

「うるし」の美術品

他にもいろいろあると思うのだが

このなかで一つだけ品の使い方違うものがある。

 

作品は「作った品」ではなく「品のあるものを作る」

もしくは「品格を作るという作業の中で育てる」

上手く言えんが、そういう考え方もある。まあ、お前が京都に帰ったら

お前なりに捉えたことを伝えてくれ。

先輩に恩返しは出来んから、後輩に恩返しかな?うまい事、言えんな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうか~。なるほど~。僕は後輩にはいまだ上手く伝えれていませんが

僕の中では、20年近くたった今も心に残っています。

 

また先生、呑みましょう!

「うるし」を美しく

上塗りの道は長く険しい。

ただ、一生懸命その技術に取り組んでいると

見落としてしまうこともある。

 

駆け出しのころ、使い手の人に教えられた。

 

「なあなあ、えらい埃の事とか傷の事とか気にしてるけど、やっぱり作ってる本人はそういうの気になるんやね。」

 

「え??でも、ちょっとでも仕上がりきれいなほうが・・!」

 

「そりゃきれいなことに越したことないけれど、僕はあんたの技術とかクオリティーの高さや技術の説明されてもようわからんわ。

僕が、あんたの作品買ったんはなんかピタ!!ってきたからやで。

なんかわからんけど、ええ!!っておもったんや。あんたは作品つくってんにゃろ?

使ってったら傷も入るやろうけど、それでも使ったろう!!っておもえるええもん作ってや!」

 

 

そうか!!目から鱗や!!ありがとうございます!!がんばります!!

なんか、うまく言えんけど、うれしかったです。

 

でもこれって、きれいに仕上げることよりもっとハードル上ってない??

 

うるしの艶

「うるし」の肌は不思議な魅力があると言われる事があります。

なんとなく納得。

 

でも、何に納得するのかな?

 

「うるし」は作り方でピカピカにもなるし、消艶にもなったり。

でも、使い込んでいくと、どちらも同じような魅力的な艶肌になっていくのです。使えば使った分だけ雰囲気が増す。擦り切れそうになっても、なにか愛おしい。

そうか~。漆は飾っておくよりも使っていた方が魅力的。

人も遠くで眺めてるだけより、一緒に笑って泣いて生きていった方が幸せなかんじ?。

 

そういうことなんだな~となんとなく納得。

 

 

「うるし」にかぶれる

「うるし」はかぶれることはほとんどの日本人は知っているようだが

どうしてかぶれるかはあまり知られていないし、僕もうまく伝える自信はない。

あえて説明に挑むなら、

「うるし」はウルシノキの血液のようなものだ。

人間も無作為に輸血したら拒否反応を起こすそうだ。

「うるし」もいやだ!って抵抗をしてるのかな?

 

でも、漆工芸の作り手たちは、修業が進むにつれてかぶれにくくなっていくといわれる。

これは人が「うるし」に慣れるのではなく、「うるし」が許してくれているのでは?

たんに、傷つけられて流された樹液はカブレという抗議をし

作り手や使い手が命を頂いて物づくりをしてると感じたときには

「うるし」も我慢してくれるのかな?

 

なんとなくそんな感じで、僕は納得してみた。

「うるし」は「うるし」

「うるし」は漢字で書くと「漆」

一つの漢字の中に二つの水と一つの木が合体したすごい文字。

でも漢字のふるさとでは「うるし」という呼び方ではない。

「うるし」は漢字が取り入れられる前から日本では「うるし」だったようだ。

 

なるほど。そうだったのか~と、なんとなく納得。

書初め

「工人(たくみびと)」のコラムで、「うるし」の事も書くという。

物造りにとって書くという事は、

今までの経験的にもなかなか大変。

 

まあでもちょっとづつでも書いてみますか。

作り手の独り言のつもりで

お付き合いください。